説明(専門用語は分かりやすい言葉に変換しています(造語含む))
絵を描く時、頭の中で何が行われているのだろうか。それを理解し、意識することで練習がより効率的になるだろうということで、モデル化&シミュレーションを作成してみました。
(※ただし、ここでは一般的なアニメ絵についてのモデル化ということに注意)
スライドバーを動かすことで処理の精度を変更でき、絵にどのような影響を及ぼすか確認できます。
1.現実世界:物理法則の中に存在している物や現象、絵として描かれたアニメや漫画など
2.記憶:現実世界で起きていることを頭の中にまとめる。
2-1.物体形状:物体の構造および形や色についての具体的な記憶(キリンの形や模様など)。
2-2.ディスクリプション:物体がどのように変化するか記述したもの(四足走行での体の動きなど)。
3.想起:記憶から脳内スケッチパッドへ映す。
4.脳内スケッチパッド:物体形状の組み合わせや、ディスクリプションを基に変形といったイメージ操作を行う場所。
5.運動系:脳内スケッチの描画情報を手や腕の命令に変換する。腕の動かし方、脳内位置から現実位置へ変換。
6.視覚:注意を向けたもの(選択されたもの)だけが脳内スケッチパッドへ移される
それぞれの部位から部位へイメージが処理されていく。そして、部位ごとの精度が絵の出来に影響を及ぼす。
物体形状スライダー:形が記憶されていないのならば、描くことはできない。
記憶の欠損、そもそも記憶していない、間違って記憶している(余分、変形) といったエラーが存在する。
☆実際には、パーツごとの形状、パーツ構造についての記憶、3次元的・2次元的な形状というように複雑に記憶されている。
また、~だと認識できる=~の形を記憶している ではないことに注意。とにかく、お絵描きは形状を記憶しないことには始まらない。
想起スライダー:例え記憶されていても引き出せなければ意味がない。
引き出せない、誤引き出し(変形)、関係のないものを引き出す といったエラーが存在する。
☆脳に障害を負ったある人は、模写をすることができても、記憶から思い出して描くことができないそうだ。
ディスクリプション(記述)スライダー:物体の変化を正しく記述し、記憶することができるのか。
記述の適用先のミス、記述の欠落、誤記述(誤変形や余分) といったエラーが存在する。
☆他にも「陰のつきかた」や「シワのできかた」などがある。これで変化したものをそのまま形状として記憶することもできる。法則を見抜くために高いIQが必要とされるのかもしれない。
スケッチ保持スライダー:スケッチに正しく保持できなければ正しく出力することはできない。
描画情報の欠落や変形といったエラーが存在する。
☆実際には3次元スケッチパッドと2次元スケッチパッドが存在している。3次元スケッチでは頭の中で物体をグルグル回転させ、それを2次元スケッチに写像してる?
また、出力しつつも眼から入力を受けて補間し合うことに注意する。
運動系スライダー:脳内スケッチの情報を正しく出力できるのか。
位置が違う、線が曲がる、大きさが異なる といったエラーが存在する。
☆視覚座標系と運動座標系は一致しない。そして、線の強弱は手の力の入れ具合などに変換する必要があります。
頭の中のイメージを完璧に再現するだけではなく、イメージ→デフォルメした手の動き、といった描きながらのイメージ変換もしていると思われる。
ざっくりとまとめてみましたが、このような流れになりました。実際には、脳があらゆる制御をするので、この通りとは限りませんし、
資料や試行錯誤を基に答えを見つけることもできます。
なぜこんなコンテンツを作ろうと思ったかというと、
絵を描くためには才能だとかデッサンが大事だとか、言葉ばかりが先行していて気持ち悪かったからです(あと他ツールの感想ツイートを読んで、絵の上手さで一番大事なのは記憶なんじゃないかと思い始めてきたから)。
シミュレーターを見ればわかりますが、記憶が一番大事です(絵は海馬で描け?)。形・ディスクリプションが頭に入ってなければ、例え脳内イメージを完璧に出力できたとしても描くことはできません。
実際に某Oさんも「脳内に思い浮かべる技術が大事」とツイートしてますし、某Aさんもデッサンは「絵を上手く描く事じゃなくて脳に焼き付けること」と言っています。
記憶するためには、物をよく観察する必要があります(意識に上らないことには記憶に残らないため)。そして観察して記憶したことを出力する(描く)ことが大事なのです(繰り返すことで記憶が定着する:詳しくはエビングハウスの忘却曲線で検索)。
ですので、例えデッサンでも何も考えずに描いていたら記憶が増えないから何百時間経っても上達しない -ということだと思います。(これが原因で才能云々言われているのだろうか?)
あらゆる練習方法が蔓延っていますが、その方法ではどの部分が関係して、どのように上達するかを意識して練習するといいと思います。
たとえばichikioでは、視覚から正しい入力をすること、そして、脳内スケッチを正しく運動系で変換するトレーニングになります。
あたドラでは、物体形状を記憶しているか、形状のロード、ディスクリプション変形の練習になります。このように練習を理解し、自分に相応しい段階の練習を選びましょう。
苦情やアドバイスなどはaboutからどうぞ(精神状態や忙しさにもよりますが、たぶん返信は来ません)。
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